前回は集団間を橋渡しする構造がイノベーションを生みやすいということを紹介しました。次に、3人が三角形を作る<結束>型のつながりを見てみましょう。
この社会資本のもう一つの構造である<結束>型ですが、こちらがもたらすメリットのほうが一般的に社会資本としてイメージされる場合が多いです。
結束型のつながり方は、基本的に橋渡し型と逆で、A, B, Cの3人が全員つながった三角形の関係になります。
お互いがつながっているので、密な関係になりやすく、そのためこちらは「強いつながり」と呼ばれたりします。
先ほどの<橋渡し>型では情報やアイデアを重視していましたが、<結束>型ネットワークで重視するものは、信頼・規範・相互監視といった特性です。
簡単にいえば、お互いのことを裏切らず、しっかりルールを守って協調的に行動しよう、といった状態です。
<橋渡し>だとAさんは情報的に優位でしたが、<結束>ではBさんとCさんもつながっているのですべて筒抜けになります。なのでお互い隠し事ができず、だったら協力的な関係になったほうがお得だよねと考えます。
信頼 | ・互いに恩義や期待という感情が醸成されやすい ・期待を裏切ったときのコストは双方大きいため、信頼し合う |
規範 | ・互いの利害関係を守るための暗黙の行動ルールが形成されやすい ・「みんなルールを守るはずだ」と信じて行動する |
相互監視 | ・みんなで協力して蓄積した公共財は、みんなのもの ・誰かが独占しないよう互いに監視し、違反者には制裁がある |
それを、信頼、規範、相互監視という特性によるものだと、研究の世界では理解されてきました。
信頼とは、そのままの意味で、信頼関係が生まれ、お互いが裏切らないという期待があることです。
規範とは、互いに利害関係を脅かさないようみんなでルールを守ろう、という暗黙の状態。
相互監視とは、誰かが悪さしないよう互いに監視の目があるため、全員が安心して行動できる状態。
これだけだと抽象的なので、次にもう少し具体例を見ていきます。
→次へ(⑤人の「つながり方」が価値を生む(4:集団内の結束))
【目次】シリーズ「ソーシャルネットワーク研究と職場のハピネス」