なぜ人は集団で暮らすのでしょうか?
一人で暮らすより力を合わせた方が得られるものが大きいからのはずです。
企業においても、「人財」と呼ばれるように従業員が最大の力の源であり、従業員が力を発揮できるように、経営戦略や人材育成、ダイバーシティなど多くの取り組みがなされています。
これらのすべてに関連する要素のひとつが「社会的つながり」です。
社会的つながりとは、簡単に言ってしまうと人間関係です。
人は周りの人から多かれ少なかれ影響を受けて暮らしています。
誰と誰がつながっているか、どのような関係性なのか。
こういった社会的つながりが会社の組織や従業員にどのような影響をもたらすのか、この一連の記事で学術研究や事例を交えてご紹介します。
社会的つながりの研究を知る前に、先に知っておいていただきたいキーワードがあります。それは、社会資本です。
社会資本(Social Capital)・・・ 「物的資本」、「人的資本」に続く、第三の資本
- 「人と人とが社会的につながり合うと、メリットが生まれる」という概念
- 「個人だけでなく、集団全体で利用できる資本」
簡単に言うと、「人と人とが社会的につながり合うことで、様々なメリットが生まれる」という概念です。個人だけでなく、集団全体が持っている資本です。これは、 「物的資本」、「人的資本」に続く第3の資本と呼ばれたりもします。
人的資本は従業員の人数や、彼ら/彼女らが持つスキルに注目するものですが、社会資本はその相乗効果に注目するものです。
野球に例えると、4番バッターとして優秀な人だけを9人集めても、強いチームになるとは限りません。足の速い人、肩の強い人、リーダーシップのある人、温厚な人、ユーモアのある人など多様な人が集まり、うまく相乗効果が働くと4番バッターばかりのチームよりも強くなる可能性があります。
その「相乗効果」が社会資本です。
しかし相乗効果とは何なのかどのような条件で表れるのか、非常にあいまいでつかみどころがありませんよね。
そこで、人がどのようにつながるとどのような現象が起こるのかを抽象化して探求するのが「ソーシャルネットワーク研究」です。
これは、個人の資質ではなく、つながり方の構造に注目する学問です。
ソーシャルネットワーク研究:つながり方の構造に注目する学問
→ どのように人がつながっている時に、どんな現象が起こるか?
この知見を活用することで、社会資本の見方が整理でき、組織の力を引き出すための人事戦略も検討がしやすくなるでしょう。
→次へ(② 人の「つながり方」が価値を生む(1:橋渡し型))
【目次】シリーズ「ソーシャルネットワーク研究と職場のハピネス」