前回は最小の集団、つまり3人における橋渡し構造について述べました。
次に、異なる集団の間で<橋渡し>する例について考えましょう。
この図は2つの集団①と集団②の間をAさんとCさんがつないでいます。
AさんはBさんと同じ集団に所属しつつ、異なる集団のCさんとも繋がっているという状態です。
基本的に、同じ集団内では同質の情報がグルグル流れていると考えられます。
そのため、集団①が新しい別種の情報を得るためには、このAさんとCさんの間の橋を通る必要があります。
つまり、異なるタイプの集団間で<橋渡し>となることは、「新しい情報やアイデア」が手に入る可能性が高くなります。一つの集団の中だけにいると、同じ情報ばかりに触れるので視野が狭くなるため、異なる集団に橋渡しする人が集団に価値をもたらすということができます。
そして橋渡しによって得られる「新しい情報・アイデア」は、組織にイノベーションをもたらす可能性があります。なぜなら、新しいアイデアは多くの場合既存のアイデア同士の組み合わせから生まれるからです。
これについても様々な実証がされています。
<橋渡し>型のつながりは、組織のイノベーションの創発に重要
- ゲーム業界において、異質なコミュニティとの<橋渡し>がある開発者の方が、創造的なゲームを開発 (Vaan 2015)
- 社外の知識を重視した<橋渡し>を多くもつ従業員ほど、特許に関するイノベーション創出が多い (Tortriello 2015)
つまり、いつも同じような人とばかり会話するのでなく、異なる世界の人と付き合うことも大切ということです。
以上が橋渡し型のメリットです。次は結束型をみていきましょう。
参考文献
- M. De Vaan, D. Stark & B. Vedres (2015). Game changer: The topology of creativity. American Journal of Sociology, 120(4), 1144-1194.
- M. Tortoriello (2015). The social underpinnings of absorptive capacity: The moderating effects of structural holes on innovation generation based on external knowledge. Strategic Management Journal, 36(4), 586-597.
【目次】シリーズ「ソーシャルネットワーク研究と職場のハピネス」