AIにどう向き合うか

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 矢野です。今日のテーマは、「AIにどう向き合うか」です。
 
 2年前のChatGPTの登場以来、生成AIは、世の中の大きな話題です。
 企業の株価も、生成AIの需要と関係があるかで大きく変動するほどです。
 
 この流れを最も早くから予測していたのが、
 アメリカの発明家で、未来思想家のレイ・カーツワイル氏です。
 カーツワイル氏は、「シンギュラリティ」という言葉を広めたことで有名です。
 
 私の知る限りのカーツワイル氏は、技術関連の未来予測を
 誰よりも的中させている人です。AIについても、今から25年前の
 1999年に書かれた「The Age of Spiritual Machine」という
 著書で、2020年頃に世界の計算機資源の大部分が
 ニューラルネットと遺伝的アルゴリズムに使われるようになる
 と予測していました。これは、今から10年前でも、
 カーツワイル氏以外には、見えていない世界でした。
 しかし、本当にそうなりました。
 
 実は、この後半に取りあげられた遺伝的アルゴリズムは、
 これまで、あまり使われていなかったので、
 そこは珍しく外したな、と私は思っていました。
 
 ところが、今回の「サカナAI」の登場です。
 サカナAIは、設立1年という短期間で、ユニコーンになった
 ことで話題のAIスタートアップです。
 昨日の日経新聞の一面にも、メガ銀行が
 100億円レベルで出資することになったことが報道されていました。
 
 このサカナAIが、まさにニューラルネットと遺伝的アルゴリズムを
 使いこなした新たなAIで、ChatGPTを越えるインパクトを目指しているのです。
 
 サカナAIが最近発表した「AIサイエンティスト」では、
 科学研究のテーマ探しから実験、さらに論文のまとめやレビューまでを
 一気通貫にAIが行えることを示しました。
 
 今、とてつもないことが起きています。
 そして、今後は、これがさらに加速します。
 
 カーツワイル氏は、今年上梓した「The Singularity is Nearer」
 で、以前からの予測がますますに確実になっていることを論じます。
 カーツワイル氏によれば、2040年前後には、
 人類とAIは、一つに種として融合すると予測しています。
 それまでに今後20年かからないというのです。
 
 今、生成AIについては、既存の業務のどこに使えば
 効果があるか、という視点の検討が主流だと思います。
 いわば、これまでの仕事の仕組みは変えずに、
 生成AIを、どこにトッピングするかを
 検討しているアプローチです。
 
 別のアプローチをとるべきです。
 
 既存の企業や社会の仕組みは、
 生成AIがないという前提で作られたものばかりです。
 今、生成AIがあることを前提にして考えたら
 本当に今の仕組みをとるでしょうか。
 
 生成AIの存在を前提に、
 ゼロリセットして考える時期がきています。
 
 それでこそ、この大きな変化を脅威ではなく、
 機会に変えることが可能になると思うからです。

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