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日立製作所が挑むマーケティング変革―「FIRA」が実現したVOC分析の質・スピード向上の実例とは

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株式会社日立製作所は、エネルギー、社会インフラ、鉄道、IT・デジタル、産業機器など幅広い領域で多岐にわたる事業を展開しています。

産業・流通部門における、お客様の課題や業界動向を分析し、営業戦略や提供価値の向上につなげる役割を担っているのが、マーケティング&デザインセンターです。
業界・顧客・競合の分析や営業現場から寄せられるVOC(Voice of Customer)分析に注力し、営業戦略の強化・高度化へ貢献することをミッションとしています。

情報量の増加や業界変化のスピードが増す中で、業界知識の補完、分析視点の拡張のため「FIRA」を導入。「FIRA」をどのように業務に取り入れ、どのような変化が生まれたのか、その実践と成果について、産業・流通部門 マーケティング&デザインセンター主任 高山友香様にお話を伺いました。

導入前の課題

  • VOC分析で使用する情報の粒度にばらつきがあり、作業負荷が大きい
  • 業界が多岐にわたっているため全ての業界知識をカバーするのが困難
  • データ分析が属人化しており、多角的な視点が不足

―「FIRA」導入前はどのような課題感をお持ちだったのかを教えて下さい。

高山様:私が所属するマーケティング&デザインセンターでは、マーケティング戦略の立案から、営業活動を支えるセールスデザインまでを一貫して行っており、その中でも、マーケティング領域を主に担当しています。
社内外に豊富にあるマーケティングデータに基づいた業界・顧客・競合・自社分析を行い、分析結果を営業戦略やソリューション強化など各種戦略につなげています。

営業が集めてくれる情報は、現場感に基づいた非常に価値のある情報ですが、課題もありました。取り扱っている業界が幅広く、データや情報が膨大で多層的なため、複雑でした。

また、営業が集めてくれる情報の中で、お客様の声をVOC(Voice of Customer)と呼んでいますが、営業によって記載観点や粒度が大きく違うため、横並びで分析できる状態ではありませんでした。
そのため「分析の観点の揃え方」「情報をどう整理して戦略に落とすか」に悩むことが多く、手作業で統合しようとすると膨大な時間がかかってしまい、情報は集まっているのに資産として活かしきれていないのが課題でした。

そういった課題をお持ちの中で「FIRA」導入にいたった理由はどのような点だったのでしょうか。

高山様:導入した理由として一番大きかったのは、文脈理解の深さと、多様なスペシャリストAIと議論できる点です。
導入前は、営業が集めてくれるVOCの粒度や視点が人によって異なり、まず情報を整理するだけでも時間がかかっていました。さらに、業界が多岐にわたるため分析者自身が業界背景まで理解していないと、結果を正しく読み解くのが難しいという課題がありました。

私自身、すべての業界に精通しているわけではありませんが、FIRAでは多様なスペシャリストAIが議論しながら、VOCの整理や切り口、考えるべき論点を提示してくれます。そのため、「ゼロから考える」のではなく、たたき台をもとに分析を進めることができ、結果として分析にかかる時間も短縮されました。

営業へのフィードバックをより具体的に、実効性のあるものにするために、マーケティング部門の業界知識や顧客理解などへの深さが鍵になりますよね。

高山様:本当にその通りで、「FIRA」はそこを補ってくれます。導入以前も他の生成AIは活用していましたが、どうしても「こちらがどれだけ適切な質問を設計できるか」に成果が左右される部分がありました。前提知識が十分でない業界では、どうしても深掘りが難しくなってしまいます。

その点、「FIRA」は複数のスペシャリストAIが多角的な視点から自律的に議論し、論点を広げてくれるのが他の生成AIとの大きな違いだと感じています。
自分では気づけていなかった観点や、考えるべきポイントが自然と整理されていく感覚があります。

「FIRA」の利用シーンや利用頻度について教えて下さい。

高山様:利用シーンは主に3つです。1つ目はテキストデータであるVOC分析時、2つ目はマーケティングの戦略設計、3つ目は分析手法の相談・壁打ち時に利用しています。

特にありがたいのは、思考が止まってしまった時に「壁打ち相手」として使える点です。
「どの視点で比較すればよいか」「業界特性をどう捉えればよいか」「分析のストーリーをどう描くべきか」、こういった”筋道作り”の場面で「FIRA」の価値が発揮されています。

また、利用頻度としては毎日ではないものの、分析や戦略立案など思考が求められるタイミングで集中的に使用しています。

「FIRA」導入後の成果について教えて下さい。

高山様:まず、圧倒的に”悩む時間”を削減することができました。以前は、VOC分析の初期フェーズで1週間ほど手が止まることもありましたが、「FIRA」を導入してからは、2~3日ほどで方針を決められるようになり、残りの時間を分析や戦略の質を高めることに使えるようになりました。

また、従来は、限られた分析期間で検討できる分析パターンは2~3種類が限界でした。
しかし、「FIRA」と他の生成AIを併用することで、同じ期間内に倍以上の分析パターンを試せるようになり、結果として最も有効性の高い分析方法と成果を導き出すことができました。
「FIRA」が分析のアイデア出しから、分析の観点も多角的に提案してくれるおかげです。生産性も飛躍的に向上し、今まででは考えられない分析量をこなすことができました。

「FIRA」導入前にあった課題感は解決することができましたか。

高山様:「FIRA」導入前に感じていた、どのように分析を進めていくかという悩みは解決することができました。
同時に、我々の強みに「FIRA」の新しい知見を融合できたことで属人化していた分析手順、観点の揃え方、情報のまとめ方などが標準化され、再現性のある分析ができるようになりつつあります。人によってばらつきが出てしまう分析を避けられるようになったのは大きな成果だと思います。

「FIRA」に対する満足度はいかがですか。

高山様:満足度は非常に高いです。何より、仕事や業務で悩んだ時にすぐに相談できるのはとても助かっています。身近に多様な専門家が常駐しているような感覚です。
現在の「FIRA」で得られるテキストでの洞察に加え、今後、スペシャリストAIがアバターなどで視覚的に擬人化されることを期待しています。そうなれば、AIとの対話に臨場感が加わり、専門家と議論を交わしているような、質の高い体験を得られると考えています。

―今後、「FIRA」をどのように活用していきたいですか。

高山様:今後は、現在のVOC分析に留まらず、「FIRA」を提案戦略の立案へと活用範囲を広げたいと考えています。お客様の真の課題に深く刺さるような提案を生み出し、営業現場をより強力に支援できる状態を目指していきたいです。

―最後に「FIRA」はどういった方、企業におすすめだと思いますか。

高山様:「FIRA」は何よりも“多様なスペシャリストとの議論を通じて思考を深めたい方”そして”多角的な意見が欲しい方”には特におすすめしたいです。

特に、幅広い業界や多様なデータを扱う部門の方と相性が良いと感じています。
また、多様なスペシャリストAIが質の高い壁打ち相手となってくれるため、深い議論と新たな気づきが必要なすべての方にとって、非常に価値のあるサービスだと感じております。