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【経営者インタビュー】「自ら動く組織づくり」の秘訣―野島社長が語る経営哲学とAI活用の最前線

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株式会社ノジマは1959年の創業以来、家電量販事業を中心に業容を拡大、現在デジタル家電専門店の店舗数は200店舗を超えて展開しているリーディングカンパニー。その立役者である野島廣司社長。
顧客第一主義と社員の自律性を重んじる「ノジマ流」経営を確立しました。

今回、野島社長に経営哲学、ノジマ様の考え方の骨格「ノジマウェイ」作成背景、社長Bunshin導入などについて、弊社ハピネスプラネット社のCEO矢野和男と対談していただきました。

野島社長:哲学というほどの大それたものはないのですが、ノジマには「全員経営理念」というのがあって、人を使う、人を動かすより自らが動いてもらうことが重要だと考えています。

だから、従業員自ら動いてもらうようにするには、決してノルマや予算とかいうことが私はあまりいいことではないと思っています。
「ノジマウェイ」などで考え方をみんなと共有しながら経営しています。

矢野:それはもう基本ですね。以前からまさに人が自ら動くということをおっしゃっていて、非常に共感しています。

しかし、「自立的な人材になってほしい」「積極性を持ってほしい」など、みんな思ってはいても、実際は人を動かすということしかできないんじゃないかと言って諦めている会社がほとんどだと思うんですね。

人が自ら動くことに本気で取り組まれている野島さんは素晴らしいなと思いますし、本当に珍しいケースじゃないですかね。

野島社長:そういう点では珍しいかもしれませんね。ただ、ハーバードでも二、三年前にパーパス経営という講座ができたというようなことを聞いています。

基本的な研修や教育は、全て考え方の教育であるというようなことも本で読みました。

ノジマ様で発行されている「ノジマウェイ」作成の背景について教えて下さい。

野島社長:背景というかまず書いた理由は、当社がM&Aした会社に1人出向させたのですが、その会社と考え方や文化が違ったんです。
その社員がM&Aした会社の従業員の状態や悩みを確認していたんですが、判断のネタが色々あって、分かりづらいので1冊の本にして欲しいと言われたので、本にしようかなと。

それまでは、箇条書きにして1ページにまとめたものは2、30くらい作っていて、それをまとめると同時に1冊の本にしたというのが「ノジマウェイ」の始まりになります。
始めたら、新入社員のも作って欲しいなど従業員からの要望が出てきて、現在9冊になりました。
書いていくごとに頭の整理ができるので、非常に自分のためにもなるなと思うことが多いんですよ。

そういった背景で「ノジマウェイ」を書き出して、今に至っています。

実は「ノジマウェイ」以外にも、94年頃から「SEARCH for(サーチ・フォー)」という、社内報はずっと出しています。
常に情報を共有化してないと全て命令になってしまうなと。

しかし、1回1回に状況や情報を説明していたら時間がかかってしょうがないので、「SEARCH for」や朝礼、半期に一度のレイヤー別の方針発表会で8000~1万名近くの従業員と情報共有しています。

だから、情報共有の中の骨格となる考え方を「ノジマウェイ」の中に入れ込んだというのが、作成の背景となります。

矢野:レイヤー別の方針発表会などから、さらに一歩有効性を高めようというのが今回社長Bunshinを導入していただいた背景ですかね。

今までも、できる範囲の中でしっかり取り組まれているノジマ様だからこそ、今回の社長Bunshinのお話がこれだけ進んだのかなと私は思います。

野島社長:その通りです。実は社長Bunshin以外のAIも動かしているのですが、実験段階での動きがあんまり良くないんですよ。

そんな時に矢野さんとお会いして、ミニマムバイアブルプロダクト(MVP)で社長Bunshinをスタートさせました。

御社が非常にハイスピードで開発していただき、当社にもコンテンツや情報もたくさんあったのもマッチして非常に良かったと思います。

矢野:生成AIについては、世の中であまりちゃんと理解されていないと私は思っています。

ChatGPTなどの生成AIを使うと、たしかにものすごく物知りであることは分かります。
知っている範囲のサマリー的なことは出してくれますが、賢さがないと、その物知りの知識は実社会には適用しないんですよね。

やはり我々が実社会で物事を進めるためには、どの視点でどんな考え方で、複雑な問題を捉えるかが重要で、同じ情報で視点や考え方を変えれば別の意味づけで捉えられるわけじゃないですか。

ですが、ノジマ様は「ノジマウェイ」や講話などで、この視点で見なさいよって示していますよね。
これがないとナレッジがいくらあっても、活きませんよね。

人は元々生成AIほどナレッジはない、物知りではないけれども非常に知恵を持っています。
そこを掛け合わせたものを我々は目指しています。

野島社長:知識だけではしょうがないんですよね。知識を使えるようになって初めて知恵になる。

矢野:1万人規模の従業員に対して、現場の中でそういうふうに考えてもらうことは、簡単じゃないと思うので、本当に常に難しいことに取り組まれているんだなと思います。

野島社長:時代が変わると、その間に変わったことをリフレッシュしていかないといけないんですよね。

例えば、昨日家に帰って「デジタル一番星」読み返していたら、「あ、これはちょっと間違いがちょこちょこあるな」「今の考え方と違うな」と思いました。

矢野:やはり、リフレッシュしなきゃいけないって状況はものすごく変わっていますよね。

新しい考え方をどう捉えるかなど、当然色々考えなければならない機会が増えますよね。

そういう時に人は「会社の仕事は給料もらっているんだから言われたことをちゃんとやろう」と。
もちろんある程度ちゃんとやらなきゃいけないのですが、今までやってきたコンフォートゾーンの中でやっていた方が余裕があって、安心というふうになりがちですよね。

野島社長:その通りですね。コンフォートゾーンは下手すると退化ですから。

矢野さんがおっしゃる通り、世の中が進化しているのにコンフォートゾーンに留まる人間がどうしても多くなっていると思います。
私は基本的にマニュアルというのは、コンフォートゾーンに収まる人をいっぱい作る仕組みじゃないかなと思いますね。

そういう点では、失敗してでも挑戦し続けると。
私もそういう点では失敗するかもしれないけど、製造業の手本になってやろうという志は持っています。

大体人間はコンフォートゾーンに入ってるのが気持ちいいんですよ。
だけどそれではほとんど成長しないんですよ。

―今回社長Bunshinを導入するにあたって経営理念の浸透が目的の一つとお伺いしておりますが、他にも目的はありますか。

野島社長:経営理念の浸透も目的の一つではありますが、それよりも従業員のお困りごと対策に一番いいんじゃないかなと思いました。

従業員がこの場面で困ったということを解決できるようなツールとして、非常に使えるんじゃないかなと期待しています。

―社長Bunshinを通すことでより従業員との距離が近くなりそうですね。

野島社長:それはもう全然近くなると思います。

当初は幹部の人にはいいのかなと思っていましたが、実は幹部だけじゃなくて、新入社員とか入社歴の浅い人に対する啓蒙や認知が高まるんじゃないかと思っています。

そういった従業員の方が困ってることが多いと思うので、非常に有効活用できると思っています。

―社長Bunshin導入後、従業員の方からの反応はありましたか。

野島社長:はい、反応いただいています。特にコネクシオ※1は離れているんですけど「ノジマウェイ」の信奉者が多いんですよね。
※1:株式会社ノジマキャリアショップ運営事業のグループ企業

そういう点では、社長Bunshinは会社の企業文化の継承にとてもいいかもしれない。

創業者が抜けるとバランスが悪くなってしまう。
創業者が抜けてしまうと考え方や理念が弱くなるので、社長Bunshinによってひょっとしたら補えるのかなと思います。

矢野:そうですね。特に大事なのは、どうしてもある時代に生きた人の話や言葉というのは、別の時代になった時に、特に情報的な話はその時代の前提になっているので、成り立たなくなる可能性もありますよね。

ただ「ノジマウェイ」や野島さんの人生哲学的な話というのは、非常に普遍的なものが多く、逆に生成AIの大規模言語モデルは、ほとんど毎月のように情報がアップデートされています。
ナレッジの方はアップデートされるので、それと「ノジマウェイ」や野島さんの考え方を掛け合わせることで、ずっと進化し続けていけると思います。

―今後社長Bunshinをどのように活用、発展していきたいと考えていますか。

野島社長:今後、よりブラッシュアップしていくわけですけれども、ひょっとしたらある程度の範囲を分けてもいいかもしれないと思っています。

例えば人材教育や財務、店舗作りの部署など、範囲をちょっと小さくして広げていけるといいなと。
そうすると実務的にも知恵と実践の部分が、より近づくのではないかなと思っています。

―最後に、野島社長が人生観や経営していく中で一番大切にしている考え方を教えて下さい。

野島社長:従業員、お客様、お取引先に喜ばれて、仕事が好きな人にはペイを与えて経済的にも喜ばれるようにして、社会全体を良くできる一つの布石になったらいいなと思っています。

矢野:本日お話をさせていただいて、改めて自分で考えて自分で行動することを、常に考えてあらゆるところに浸透させるというのは、本当になかなかできることじゃないと思います。これからますます発展されることを確信しています。

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