インタビュー

Interview

ウェルビーイングの未来を切り拓く:データサイエンティストの挑戦

太田雄貴

ヒューマンデータサイエンティスト

太田(雄): 2017年に東京工業大学大学院の総合理工学研究科を修了し、その後すぐに日立製作所に入社しました。入社後は、研究開発グループで主に公共系ITシステムの研究開発に携わり、機械学習や数理最適化を活用した予測・効率化AIシステムの開発に取り組んできました。実データを用いた予測方式の検討や、効率化のための最適化手法の開発・実験を主導し、その成果が評価され、公的機関から調査研究の入札受注も経験しました。2020年には株式会社ハピネスプラネットに設立時から参画し、現在に至ります。

太田(雄): 入社のきっかけは、CEOの矢野さんからの直接のお誘いでした。「新しい会社を立ち上げるから、一緒にやらないか」というお声がけをいただき、そのビジネスアイデアや会社のビジョンに強く惹かれました。当時、私は社会人になって数年が経ち、現代社会で働く人々のウェルビーイングに強い関心を持っていました。市場がまだ未発展の中で、すべての人にとって根源的に重要なウェルビーイングをどのように支援できるか、その挑戦に魅力を感じたことが入社の決め手です。矢野さんの研究を以前から知っていたこともあり、日立製作所の研究所発のスタートアップという前例のない挑戦に、自分も貢献したいと強く思いました。

太田(雄): 私の仕事は大きく分けて2つあります。まず、顧客導入支援です。ハピネスプラネットを導入するお客様に対し、提案から環境整備、運用、報告まで広範囲にわたるサポートを行っています。お客様の課題を整理し、Happiness Planetの最適な活用方法を提案し、その効果をデータ解析によって定量的に示すことで、さらなる提案に繋げています。

もう一つは、アプリの機能改善や機能追加のための開発業務です。アイデアの発案から仕様検討、設計、テストまでを担当し、必要に応じて特許の執筆も行っています。現在は、これまで培ってきた機械学習や数理最適化の技術を用いて、新たな機能の検討・開発に取り組んでいるところです。

太田(雄): 大企業からスタートアップへの転身は、最初は大きな戸惑いがありました。前職では業務プロセスや役割がある程度最適化されていましたが、ハピネスプラネットに加わった当初は「創業の瞬間」ということもあり、ほとんど何も整っていない状態でした。その中で、方針や優先度が目まぐるしく変化する環境に順応するのは簡単ではありませんでした。自分の役割を選り好みする暇はなく、目の前の重要なことに対して素早く対応する必要がありました。

当初はそのマインドの切り替えに苦戦し、前職での自信が揺らぎながらも前に進む日々が続きました。しかし、経営層がどんな細かい仕事でも厭わずに対応する姿を見て、私も少しずつ環境に適応していけたと感じています。

太田(雄): 「幸せ」という人間にとって本質的で最も重要な概念に対して、ビジネスとして支援する活動に携われることは非常にユニークで魅力的です。幸せという言葉は人によって様々な定義や解釈がありますが、私たちはその哲学的な問いに答えを求めるのではなく、幸せを高めるための現実的なアプローチを形にするという面白さがあります。仕事と私生活を含めた多様な要因が関係する中で、私たちのサービスがどこまで支援できるかを追求することは、非常にチャレンジングであり、やりがいを感じる部分です。

太田(雄): 知的好奇心を満たすことが好きで、近所のカフェで本を読んだり勉強したりすることが多いです。最近は世界史や科学系の本を読むことが多く、基礎教養として学ぶことの楽しさを再発見しています。仕事に関連する技術的な勉強も続けていますが、集中力が以前よりも落ちていると感じることが多く、集中力を取り戻すことが個人的な課題です(笑)。また、以前は自然の中での活動が好きで、海や山でのアクティビティを楽しんでいましたが、コロナ禍を機に少し遠ざかってしまいました。そろそろ再開したいと思っていますし、ゴルフにも興味があるので、今後挑戦してみたいと思っています。

太田(雄): ハピネスプラネットは研究所発のスタートアップであり、技術的な強みや学術的な裏付けがあるサービスに育てていくことを大切に考えています。現在は事業拡大に集中していますが、将来的には研究開発にも力を入れて、技術的にも研究的にも魅力溢れるサービスにしていきたいと考えています。そのためにも、アイデアの種や実行力を常に意識して磨いていきたいです。

個人的には、将来的に大学に戻って勉強したいとも考えています。弊社にはアカデミックへの進学に理解がある人も多く、実際に博士課程に在学中の先輩社員もいます。働きながら現場のリアルな課題を把握しつつ、学問的な研鑽も積むことで、様々なアプローチでウェルビーイング向上を支援できる力をつけていきたいと思っています。